気に入った作品をたまに購入する。絵画は壁に掛け、立体作品などは適当な棚などに飾る。しかし、小さい家なのですぐに置き場がなくなってしまう。他に飾れそうな場所はないかと室内を見渡す。天井にはシーリングコネクター、壁にはコンセントがある。 「アタッチメント」の作品群は、シーリングコネクターやコンセントに接続可能であり、実際に照明や電化製品を取り付けることができる。これは、作品に電気を通過させることにより、美術と生活を半ば強制的に接続させる試みである。
「Attachment」2019
古い額縁をいただいた。ある作家の遺品整理でたまたま手元に渡ってきた。あまりに華美で時代錯誤的な印象も否めないが、なにかに使えるだろうと思いつつ、具体的なイメージも湧かず、1年以上アトリエに放置していた。アトリエを掃除していると、額縁が目にとまった。埃を払い、久々に眺めていると制作に使える気がした。手元でしばらく寝かせたおかげか、額縁にまつわる物語をすっかり感じなくなったからかもしれない。 私の作品には物語性がない。これといったモチーフなどを描かない。絵画的な空間をつくらない。混色もあまりしない。塗りムラもつくらない。味のある表現をしない。技巧的にならない。あまり気分や感覚を信用して制作しない。絵画を構成する様々な要素を経由せずに絵画をつくる。タイトルの「oides」とはラテン語で「～のような、～に似た」という意味の接尾辞である。接尾辞なので通常は単独で使用しないが、作品に接続されるように使用している。私は絵画に似たなにかをつくっている。
「Naming method」2018
私は常に「絵画とは何か」を問い続けながら作品を制作している。
一般的に絵画とは、キャンバスのような平面的な支持体にイメージが描かれたものを指す。しかしふと視線を移動するとキャンバスには側面が存在していることに気づく。私はその、キャンバスと壁面の間の存在に着目し、どこまでが絵画であるのかを実践を通し思考している。
私の作品制作は支持体の制作から始まる。任意の方法でキャンバスに立体感を与え、その上にイメージを描く。このため作品は物質性が強調され、絵画を構成する要素は単なる描かれたイメージだけではなくなる。しかし同時に絵画性は大きく損なわれる。絵画の構成要件を変容させることで逆説的に「絵画とは何か」という問いを浮き上がらせる。私の作品は「絵画とは何か」を問い続ける「絵画」である。
I find myself always asking, “What is painting?” while I’m creating works. Generally, paintings are defined as images drawn on flat surfaces, like a stretched canvas. However, if we change our perspective of the canvas, we will notice that there are side dimensions in the canvas as well. I focus on the existence of the surface and the side, and I am pursuing, thinking of the border, and the limits of painting through my work.
I start creating my work by constructing a support base with the canvas. I turn canvases into steric shapes as any way I like to make them, then draw and paint images on them. In this manner I believe the materiality of my work is further emphasized and makes a painting more than just an image. On the other hand, the pictorial meaning of the painting may be lost as a result. My intention to change the structural matter of paintings raises the question: “What is painting?” paradoxically. I believe through my art and painting work is to keep questioning what painting is.
２nd October,2017